読書

「存在のすべてを」 塩田 武士

~平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち──圧巻の結末に心打たれる…

「元彼の遺言状」 新川 帆立

~「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」――奇妙な遺言状をめぐる遺産相続ミステリー!~ このミステリーがすごい!の大賞受賞作品です。作家のデビュー作とのこと。読後に知ったのですが、ドラマ化もされていたんですね。 私は、デビュー作とはどうしても粗…

「未明の砦」 太田 愛

~共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。~ 今年もあと2週間程で終わります。 今年は本当に読書面で何の収穫もなかった年です。 手に取る本が軒並み面白くない、どころか文章の体をなしてないものばかり。 そして本作。 …

「西郷の首」 伊東 潤

~西郷の首を発見した軍人と、大久保利通暗殺の実行犯は、かつての親友同士だった。激動の時代を生き抜いたふたりの武士の友情、そして別離。「明治維新」に隠されたドラマを描く、美しくも切ない歴史長編~ ある程度評判が良かったこともあり、久々に歴史も…

「偶然完全 勝新太郎伝」 田崎 健太

以前、野球の伊良部秀樹投手の評伝を取り上げましたが、同じ著者による、俳優勝新太郎の評伝です。 端的に言って感想は、今年読んだ本の中では断トツで面白かった、というものです。 とは言え言いたいことはたくさんあります。 勝新太郎。 当然座頭市は知っ…

「春に散る」 沢木 耕太郎

~かつてボクシング世界チャンプを目指し挫折した広岡は、40年ぶりに米国から日本へ戻る。ジムの古い仲間たちと再会し、やがて共同生活をすることになる。そこで出会ったものとは……。どう生きて、どう死ぬのか。人生の豊かさを問いかける傑作小説。~ 気づけ…

「天路の旅人」 沢木 耕太郎

~第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタ…

「つけびの村」 高橋 ユキ

~2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが……それらはすべて〈うわさ話〉に過ぎなかった。~ 久々の投稿、読書感想です。 ここ何回かの投稿では…

「君のクイズ」 小川 哲

前回の以下の記事まで、2回にわたりとある作品について書きました。 辛辣な文章ではありますが、私なりに真摯な思いを綴りました。 あまりこういうことは書いたことはないのですが、 当該記事は皆さんに読んでいただきたいですね。 さて、少なからず不快な…

「未必のマクベス」 早瀬 耕

先日以下の記事で、「読書生活の中でも過去最大級にひどい内容の本にでくわした」と書きました。 そしてこの記事で、「引っかかる箇所が目白押しだったのです。その数、100以上」と書きました。 ようやく本題の感想を投稿します。 本来ですと、文脈、常識等…

シェイクスピアは読んでいますか?

このブログを始めて以来、最も長期間、間が空きました。 書くことがなかったわけではありません。 逆です。 書くことがありすぎました。 このブログのメインコンテンツの一つが読書感想なのですが、すごい本に出くわしたのです。 出会ったのではありません。…

「月の立つ林で」 青山 美智子

先日紹介した「赤と青とエスキース」が割と感触がよかったので読んでみた作家の近作となります。 ネタバレがあります。 赤と青と~同様、連作の果てにきれいにつながる構造です。 タイトルが示すとおり「月」が、正確には「月をテーマに話すポッドキャスト番…

「赤と青とエスキース」 青山 美智子

エスキース・・・、エスキス。 フランス語で下絵やラフスケッチを意味する言葉です。 私は絵画も好きなので、いつか美術用語をタイトルにした曲をつくりたいと思っていたので興味を惹かれ読んでみました。 ネタバレありの読書感想です。 簡単に言うと、二人…

「生皮 あるセクシャルハラスメントの光景」 井上 荒野

各所での評価が高かったことから読んでみた作品です。 ネタバレありの読書感想です。 あまり期待しないで、読書の守備範囲が広がれば、という思いで読みましたが最後まで読むのが苦痛でした。 感想を書くのも苦痛ですが、記録用という意味でも少しだけ書きま…

「バッド・コップ・スクワッド」 木内 一裕

世間的には、例えば直近で取り上げた大沢在昌ほどには知られていないのではないかと思われる、しかし、マンガ「ビー・バップ・ハイスクール」の作者としてお馴染みの作家の最新作です。 ネタバレがあります。 私は作家のことは、Amazonのオススメか何かで知…

「黒石 新宿鮫Ⅻ」 大沢 在昌

映画化、ドラマ化された人気シリーズの最新作です。 ネタバレがあります。 以前、他の本について感想を書いたときに私は、本シリーズを高く評価する旨を書きました。 シリーズ開始当初は、主人公の鮫島の描写がどうも中途半端な印象を受けました。起きる事件…

「連鎖」 黒川 博行

ここ何年かの間で、私の好きな作家のトップ3に常にランクインしている作家の最新作になります。 ネタバレがあります。 作家の近作で度々主役を張る上坂刑事が登場する作品ということで、シリーズものと言っていいでしょう。 当然私も好きなシリーズで、確実…

「リバー」 奥田 英朗

久しぶりの読書感想となります。 ネタバレがあります。 この奥田英朗という作家、どうも評価に困る作家です。 守備範囲の狭い私ですが、作家は「まあまあ好きな方」に分類しています・・・、いました。 作家のもっとも有名であろう、空中ブランコシリーズは…

「さよなら、野口健」 小林 元喜

もうあと2か月ほどで今年も終わりますが、ここまでで今年のベストと言っていいでしょう。 読書感想です。 テレビでもお馴染みのアルピニスト、野口健の、元側近による評伝です。 あらすじにはこうあります。 「アルピニスト」野口健は怪物か、それとも善意の…

「球童 伊良部秀輝伝」田崎 健太

日米のプロ野球で活躍し、その快速球と奔放なキャラクターで知られたピッチャーの評伝です。 まず読む前に想像したのは、「強面でわがまま、強気な発言のイメージの強い伊良部だか、実は繊細な一面やこころ優しい一面もあった」という内容であろうということ…

「マスカレード・ゲーム」 東野 圭吾

押しも押されぬ人気作家の最新作です。 ネタバレがあります。 率直な感想としては、作家の作品はほぼ読んでいますが、初期の作品を除き下から数えた方が早い作品でした。 この作品は、作家の作品の中でも屈指の人気シリーズと言ってもいいもので、読むに際し…

「ハヤブサ消防団」 池井戸 潤

前回取り上げた「天国の修羅たち」に続き、自分にとっては確実におもしろいであろうという前提で読んだ本になります。 何しろ、ここ何年かの間に出した氏の全ての作品を読んでいるし、そのほとんどがいい印象を持った作家だからです。 多少のネタバレがあり…

「天国の修羅たち」 深町 秋生

このブログを始めて以来40日ほど、数冊の本の感想を書いてきました。 その中で、この本は初の位置づけの本となります。 どんな位置づけかというと、もともと好きなシリーズで、読む前からある程度おもしろいであろうことがわかっていた本、というものです。 …

「見えない轍」 鏑木 蓮

最初に大前提を書きます。 私は読書する際は図書館で借りたりはせず、あるいは人に借りたりはぜず、はたまた古本ではなく新品を買っています。 そのうえで、言わんとすることをご斟酌ください。 ようやく読み終わりました。 読み始めたのが8/22です。 読了に…

「Fake」 五十嵐 貴久

~興信所の調査員と美貌の東大生が、浪人生を東京芸大に受からせるためにカンニングを試みる。しかし、それは罠だった。全てを失った彼等は、浪人生の父親を巻き込んで、復讐のため十億円を賭けたポーカーの勝負に打って出る~ そんなあらすじて軽快に進む、…

「あさとほ」 新名 智

久々に通常の読者感想です。 一部ネタバレがあります。 この作品は、おもしろくなかったですね・・・。 今年読んだ中では今のところワーストと言っていいでしょう。 作品は、ミステリ仕立ての超能力もの、とでも言いましょうか。 超能力ものって難しいんです…

おもしろい小説の見つけ方?

なかなかおもしろい本に出会わない、とは以前書きましたが、そんな中でも私なりのおもしろい小説の見つけ方、選び方を書いてみたいと思います。 おもしろい小説の見つけ方、選び方とは言っても、正確には「おもしろくない小説の避け方」といった方が適切かも…

「沢村忠に真空を飛ばせた男―昭和のプロモーター・野口修 評伝―」  細田 昌志

困りました。 もともとは「おもしろくなかった」本について、思うところを言うために始めたブログですが、本当におもしろくない本についての感想ばかりになりそうです。 半分は「おもしろかった」という感想にしたいところですがそんな本に全然出会いません…

「もしも俺たちが天使なら」 井岡 瞬

セレブからしか金を獲らない詐欺師、〝ヒモ歴〟更新中だが喧嘩は負け知らず、 不始末で警察を追われた元刑事。 そんなはみだし者三人の前に美しい娘が現れ、「変な男に実家が乗っ取られそう」と助けを求めてきた・・・。 そんなあらすじの、「最高にクールで…

「出版禁止 いやしの村滞在記」と「弱さじゃないよ、恋は」

「出版禁止 いやしの村滞在記」 長江 俊和 各所に伏線がちりばめられた、テクニカルなミステリ。 要所要所でグロテスク。 ネタばれあります。 作品自体は、私の好みではありません。 物語は、主人公の高校時代の「一見」淡い恋愛が起点になっていますが 恋愛…