TO NEW YORK

それは、かつて私がポルトガルを旅したときの話です。

 

首都リスボンを拠点とし、ポルトガル国内のその他の街に日帰りで出かける旅でした。

 

その日私が日帰り旅行に選んだのはリスボンからバスを乗り継いで一時間と少しのオビドスという街です。

 

写真を見て行き先に選んだその町の魅力は、その特徴的な街並みにあります。

 

家々の白壁に鮮やかな青と黄色の線があしらわれている光景が何か神秘的に映ったのです。

 

オビドス行きのバス停がなかなか見つからず、人に聞いても「あっちへ行け」とあしらわれたりしながらも、ようやくバス停が見つかります。

 

余談ですが、「黄色の線があしらわれる」と、「あっちへ行けとあしらわれる」と書いて気づいたのですが、「あしらわれる」って同じ言葉で全く異なる二つの意味を持つ言葉なんですね。

 

閑話休題、オビドス行きのバスがやってきます。

 

運転手に「To Ōbidos」と告げ、チケットを購入し座席に座り、バスは走り出しました。

 

そこで私はおかしなことに気づきます。

チケットをよく見ると、旅のバイブルである地球の歩き方に書いてあるオビドス行きの料金の約2倍だったのです。

さらによく見ると「2Tickets」と印字されています。

 

そうです。

 

まさかの「To Ōbidos」が「Two Ōbidos」と勘違いされたのです。

この「To」と「Two」発音に厳密な違いはないようで、「2枚」の方ととらえられたのは私の表現不足です。

私は運転手の青年に片言の英語で「I said To not Two」というようなことを伝え、料金は返してもらいました。

 

そうして到着したオビドスの街は想像どおり、しんとしつつも先述の、青と黄色の線があしらわれた白壁はグッとくるものがあり、チョコレートでできたコーンにワインを注いだようなお酒、ジンジャもとても美味しく満足しました。

 

数時間の滞在の後、帰路に着くべく着いたのと同じバス停でリスボン行きのバスを待ちます。

 

バスはやってきました。

運転手は行きのバスと同じ青年でした。

 

私と目が合うなり彼はにやっと笑い、人差し指を一本立てました。

「1枚だろ?」と。

 

 

私はこのとき、さんまさんの

 

「トゥーニューヨーク」と言ったらチケットを2枚渡された

「フォーニューヨーク」と言ったら4枚渡された

「ええと〜」と言ったら8枚渡された

 

というギャグをリアルで体験したのでした。

 

 

このブログでいつも言っているようなことですが、私がもし英語が話せたら。

この体験はありませんでした。

運転手の青年の人差し指はハンドルを握ったままだったことでしょう。

 

ですが、旅人という立場に甘んじて、現地の人に迷惑をかけるのも気が進みません。

英語をはじめ、せめて挨拶くらいは現地の言葉で言えるようにしないといけませんね。

 

 

まさかの2日連続のさんまさんネタで8月のブログを終わります。