かのマイケルジャクソンが世界に広めたという、ムーンウォーク。
誰でも一度は真似してみたくなる、とても魅力的で、不思議なステップの技法です。
私はかねてから、ムーンウォークのメカニズムが気になっていました。
当時の私の予想は、後ろ足を遠目からはわからないくらい小刻みに震わせて後進している、というものでしたが正解は違いました。
答え合わせはもちろん、得意のYouTubeです。
ムーンウォークをやってみたい人がたくさんいるのでしょう、YouTube上には多くのムーンウォーク解説動画がアップされています。
その中でも丁寧に教えていると思われるとある動画を見ながら、早速私もムーンウォークにチャレンジしてみました。
すると、とある箇所でつまづきました。
ダンスの技法を文章で説明するのも長ったらしくなるので詳細は省きますが、その動画の先生は、「はい、ここで重心を前にかけて、スーっと動かします!」と言います。
ところがです。
私はどうもその「スーっ」ができません。
何度やっても「スーっ」ができず、根本的な何かがその先生とは違っているのです。
その時、私の頭の中では一つの疑念が浮かんでいました。
いえ、体が納得していないことがあったあったのです。
その「疑念」とは、件の「スーっ」の前の「重心を前にかけて」の部分についてです。
さんざんムーンウォークの動画を見た私の体は、そのポイントで重心を「後ろに」かけたがっていたのです。
そうです、先生のレクチャーとは真逆の動きを私の体は求めていたのです。
そこで私は、意を決し、件のポイントで重心を後ろにかけてみました。
すると・・・、「スーっ」ができたのです。
つまり、ムーンウォークができたのです。
まぐれを疑った私は再度チャレンジしました。
そして、成功しました。無論重心は「後ろ」です。
先生の指示とは真逆のことをした結果、先生と同じムーンウォークができたのです。
ムーンウォークを伝授してくれたその先生を上から見るような言い方になりますが、その先生が言った、重心を「前」にかける、というのはおそらく、いえ、確実に間違いではありません。
なにしろ先生はとてもきれいなムーンウォークができているのですから。
ただおそらく、一連のムーンウォークのメカニズムの中で重心が前に行くタイミングと後ろに行くタイミングがあって、先生は前に行くタイミングを、私にとっては後ろに行くタイミングをポイントとして認識しただけで行きつくところは一緒だったのです。
単に言われたとおりにしてみるだけではなく、自分の体で試して、感じたことが自分にとっては必要なことだったのです。
真夜中にムーンウォークを体得した私の靴下は真っ黒になっていました。