前編はこちらです。
私が事務局を担当した新規採用試験。
頭一つ抜けて優秀なBさんという女性がいました。
合格するのは当然、あとは何位でフィニッシュするかと思われたところ、評価者の一人であるD部長がBさんに付けた点数はまさかの1点。
その1点によりBさんは7人採用予定のところ、合格圏外の10位に一気に順位を落としました。
様々な角度からなる採点表は20点満点で、D部長はその他の受験生に対し最低でも10点は付けていました。
つまり、D部長はBさんに対してだけ、あえて低評価をつけたのです。
驚きましたが、実際の採用人数は内定の辞退を見越さなければなりません。
つまり、7人採用予定なのであれば7プラス数人が採用になり、Bさんは仮合格のボーダーラインに位置したようなものです。
採点が終了し、舞台は最終的な合否の判定会議に移ります。
判定会議では上位7名は問題なく合格、問題は残り何名を追加で合格とするかということが議論されました。
その結果、当初の予定どおり、内定辞退を見越し12名ほどを採用とするという方針が決まりました。
8位から順に個別判定していきます。
8位、9位、いずれも合格。
そして10位のBさんの番になりました。
順調にいけば合格です。
が、その時。
D部長がヒステリックな声を上げました。
「ダメダメ!拒否権発動~!」
そうです。「1点」という採点が示すとおり、D部長はBさんをピンポイントで全否定したのです。
D部長の言い分はこうです。
「彼女が言っていたエピソードが気に入らない。吹奏楽部のリーダーが不在となった状況で、急遽私が中心となり大学祭の出番を乗り切った、というエピソード!
誰かがいないからやってあげた、というエピソードはダメ!」
わからないでもありません。
やむを得ず、ではなく、最初から必要だからリーダーシップを発揮し成功に導いた、というエピソードの方が説得力はあるかもしれません。
ですが、Bさんか話したのは、努力してトラブルを回避し成功に導いたというわかりやすいエピソードに過ぎません。
それを言うならほかの受験生のエピソードにはもっと説得力に乏しいものが多数ありました。
私の推理はこうです。
おそらくD部長は、Bさんのようなハキハキしゃべる女性と仕事上接する際にうまくいかなかった、あるいは嫌な思いをしたことがあったのではないでしょうか。
かくいう私も、以前このブログでも書いたとおり部下の女性とうまくいかなかったことがあるのでD部長の判断は正しいかもしれない、という気もしました。
優秀すぎるが故の周囲との軋轢、あるいはこなれすぎているが故の責任逃れ・・・。
そんな未来が予想できないでもありません。
しかしながら私は、Bさんのハキハキさ、そしてその他の魅力はいい方向に向かうような気がしたのです。そして私はその様を近くで見ていたい、そんな風に思ったのです。
判定会議の結果、Bさんを飛ばした上位12名が合格ということになりました。
Bさんには「不合格」という結果のみが届きます。
半年後、Bさんは別の会社に就職し、そこで様々な苦労や喜びを感じることでしょう。
私とBさんは二度と会うことはありません。
私とBさんが一瞬交差した、それが最終面接のあの日だったのです。