天才と凡庸

モーニング娘、と言えば、プロデューサーはご存じつんく♂さんです。

 

でした。

 

そうです、氏は大病を患って以来、モーニング娘についてはサウンドプロデューサーという位置づけになり、楽曲提供こそするものの、以前のような総合プロデューサーというポジションからは退きました。

これは、アンジュルムやJuice=Juiceなどの他のアイドルグループ全体の総称ハロー!プロジェクトハロプロ)においても同じです。

 

これにより、モーニング娘は別として、それ以外のハロプロのグループについてはつんく♂さん以外の作家が楽曲提供することがほとんどとなり、氏の楽曲を聴く機会は減りました。

 

 

失って初めてわかることがあります。

 

例えばつんく♂さんの偉大さ、異常さです。

 

 

それを端的に示す1曲があります。

 

Juice=Juiceの「地団駄ダンス」という曲です。

 

これを初めて聴いたとき、私は激しい嫌悪感を覚えました。

それは別にメロディがよくないとか、アレンジがダサいとか、そういうことではありません。

 

例えば出だしの歌詞からしてこうです。

 

「スイーツ並んで 目の前で売り切れ
あこがれカフェへ 臨時休業だって」

 

良くない意味で戦慄が走りました。

 

私はこの曲はハロプロ史上屈指の下から数えたベストソングだと思っているのでリンクは貼りません。

 

凡庸です。

 

あまりに凡庸です。

 

いえ、凡庸なのはいいんです。

 

一方、同じように、女子と食べ物がモチーフとして出てくる曲で、ベリーズ工房の「1億3千万総ダイエット王国」という曲があります。

プロデュースはもちろんつんく♂さんです。

 



天才です。

 

どこがどうとは言いません。

聴けば、見れば違いはわかります。

 

ですが、前者の何が問題か少しだけ書きます。

それはつんく♂さんっぽい曲をつくろうと、できもしないミクロの視点で女子の心の機微を描くことを試みて、結果凡庸になっているところです。

 

つんくってよくこういう曲つくるよな」、「つんくの曲ってこんなじゃね?」と言いながらこの曲をつくったスタッフさん(ハロプロメンバーはスタッフのことを「スタッフさん」と言うので私も倣います)の姿が目に浮かびます。

 

 

天才には天才にしかできない所業があります。

 

 

凡人はそれを真似するのではなく、凡人なりに努力するしかないのです。

 

 

すると、こんな名曲が生まれます。