そして私は野球が嫌いです。
いえ、正確ではありません。
私は野球中継が好きではないのです。
——————————————————————————————————————
幼いころから父の影響もありテレビでずっと野球中継を見てきました。
初めて野球中継を見たときのことをいまだに覚えています。
だいぶ前の話ではありますが、右下に小さく、対戦中のチーム名の頭文字、得点情報、そして現在のカウントを示すS・B・Oの3文字がグラフィカルに表示されます。
さらには一塁にランナーが出るとその情報もグラフィカルに表示されていきます。
幼い私は思いました。
野球という泥臭いスポーツ、勝手に「アナログ」と呼びましょう、と、それを数値化、ビジュアル化した右下の情報、「デジタル」と呼びましょう、が、リアルタイムに連動し更新されていくさまがすごく、かっこいいと思ってしまったのです。
「アナログ」と「デジタル」の融合だ、と。
(無論、当時子供の私が「アナログとデジタルの融合」なんてきれいに言語化できたわけはありませんが。)
魅了されたのはそれだけにとどまりません。
ピッチャーがボールを投げます。
画面下部に今度はこんな表示がなされます。
「132km スライダー」
? ? ?
幼い私には最初その意味がわかりませんでしたが、どうやらそれは、たった今ピッチャーが投げたボールのスピード、いわゆる「球速」と、そしてその曲がり方の種類、いわゆる「球種」を示すものらしいのです。
私はこれにもグッときました。
先述の右下のビジュアルと同じ理由です。
ピッチャーが歯を食いしばって、汗を飛ばして投げたボールの速度、曲がり方を客観的に数値化、言語化する様子に魅了されたのです。
また、その球種を言語化する際のスライダー、シンカー、パームボール、なんていう名前がまたかっこいいと感じたものです。
つづく