中編から続きます。
野球中継を見ていると、おなじみのフレーズがたびたび出てくることに気づきます。
①この1点は大きいです
②ゲームの流れが阪神に来ていますね
③案外こういう試合は一発(ホームラン)で決まるんですよ
④(守備者が)変わったところに打球は飛んでくるんですよ
⑤不思議とチャンスで村上に(打席が)回ってくるんですよ
⑥この場面で村上は怖いですね
⑦この1点は明日につながります
・・・
いかがでしょう。
そのほとんどが、単なる印象論、あるいは酔ったおじさんの与太話になってはいないでしょうか。
それでも子供の頃は、その与太話も楽しめました。ですが、ペナントレースは毎年繰り返すもの。
そうです。
私はその単なる印象論、与太話の繰り返しに飽きてしまったのです。
先述の例をとっても、
①②わからないでもないですが、多分に印象論です。
③「案外」とつけたらたいていのことはあてはまります。
④そんなことはありません。(これが特にひどい。)
⑤そうなるように打順を組んだのです。
⑥村上はどんな場面でも怖い歴史に残る強打者です。
⑦わからないでもないですが、言うに事欠いているのが、見え見えです。
どうでしょうか。
中身があるでしょうか。
中編で取り上げた、内角・外角理論のロジカルな美しさはそこにはありません。
もちろん、ビールを飲みながら中身のないことをああでもないこうでもないというのが野球観戦の楽しみ方のひとつだということはわかっています。
ですが、そこを無邪気に楽しむには、私は神経質過ぎました。
プロ野球を解説・実況するのはプロの解説者・アナウンサーであるべき。
愛憎入り交じった感情のもと、いつしか私は野球中継を見なくなりました。
私は野球が嫌いになったのでしょうか。
正確ではありません。
私は、野球にまつわる怠惰なあれこれが嫌いになったのです。
おわり