①はこちらです。
手術当日。
クリニックに到着します。
いつもは外来患者で賑わう院内ですが、一人の医師がすべてをまかなっているため、手術のその日はすべて私のためにスタッフの皆さんがいそいそと準備をしています。
手術着に着替え、医師に鼻の穴に硬質のスポンジを何本かねじ込まれます。
当然苦しいですが、これは想像の範囲内です。
そしていよいよ手術台に横になります。
手術自体は90分程度で終わるとのことでしたが、左腕には点滴を挿入され、指先には血圧を管理するためと思われる装置がはめ込まれます。
この時点でにわかに緊張感が増してきました。
「ではこれより鼻中隔側弯症および副鼻腔炎の手術を始めます」
最初に鼻に麻酔注射を打ちますがさほど痛くありません。
「これならなんとか耐えられるか・・・。」
そう思ったのもつかの間、本来の鼻とは異なる恐怖が私を襲いました。
そうです。
私は閉所恐怖症の嫌いがあり、体を拘束されて身動きが取れないことが怖くて仕方がないのです。
そんな心境ですから呼吸もおかしくなり、急にむせてきて医師にむせた旨を報告。
医師は「吐き出してください。」とおっしゃたので、パニックになっている私は無我夢中でそのまま痰を吐き出しました。
すると医師は「もうですか。」と、痰を処理する準備ができていなかったことで驚いていました。
そんなことをしているとようやく麻酔が効いてきて私は意識を失いました。
その間おそらく60分弱。
目が覚めると、ポリープを切除するゴリゴリという鈍い音がが響きます。
そして、「はい、終了です。」
手術は無事終わりました。
切り取ったポリープを見せてもらったところ6,7個のかけらで、すべて合わせると小指の第1関節分くらいはありそうです。これだけよけいなものがあればそれは呼吸は苦しいはずです。
さて、麻酔が効いて体はふらふらです。
お会計を済ませ、行きと同様歩いて帰るという私をスタッフさんたちは止めてタクシーを呼んでくれ、それに乗って私は家路に着きました。
この時点で意識はかなりもうろうとしています。
ですが、この時の私は知る由もありませんでした、本当の地獄がこれからだということを。
つづく