③はこちらです。
手術から3日後。
その3日間はろくに眠れもせず、水を飲むこともできず、精神的に削られる生き地獄のような日々でした。
ですがそれも、今日鼻のスポンジを抜き取れば一段落です。
この日をどれだけ待ったことか!
病院に到着、診察室から私の名前が呼ばれます。
医師は、「お疲れさまでした、一気にぬきとります。」と言い両の鼻のスポンジを抜き取ります。
本当に、この瞬間をどれほど待ち侘びたかわかりません。
私の両の鼻はしっかりと空気を吸い込みました。病院特有のにおいなのでしょう、つーんとするオキシドール系のにおいも感じ取りました。
数秒間だけ。
次の瞬間、右の鼻から大量に出血がありました。医師いわく年に一人いるかいないかの症状とのこと。
血は止まりません。
私の黄色いネルシャツは真っ赤に染まりました。
そこで最も聞きたくない台詞を医師は口にしました。
「もう一回スポンジを入れます。」
これには私は激しく反対しました。
もうあの地獄を味わうのはまっぴらごめんです。
さらには仕事もそうそう休めないので、あの状態を受け入れるわけにはいかなかったのです。
そこで私は医師に提案しました。
「少し時間を置いて、もう一度試してみたいです。」と。
医師は悩んだ挙げ句「・・・、やってみますか。」と同意してくれました。
そして1時間後の為に再度スポンジを右の鼻に差し込みます。
1時間の我慢です。
私は鼻を押さえながら個室で幸運を祈りながら待ちました。
そして1時間後。
改めてスポンジを抜き取ります。
すると・・・、やはり血は止まりません。
医師は方針転換をし、患部を焼いて止血を試みます。
麻酔を打っているとはいえ痛みと苦しさが私を襲います。
医師は溢れ出る血を吸引しながらも止血を続けます。
私はといえば、鼻から、そして喉に回った血にむせながら、文字どおり涙を流して耐え忍びます。
私の視界には吸引した血が落ちていく真っ赤に染まる透明チューブ。
これは我ながらグロテスクです。
10分余りの拷問の結果、血はやはり止まりませんでした。
医師曰く「患部はわかっているのですが、血圧が高くなっていて出血が止まりません。」
それはそうでしょう、10分余りの拷問を穏やかな気持ちで受け入れることのできる人などいません。普段は低血圧の私ですが、興奮状態になり血圧が高まったのでしょう。
その日の結論は、右だけ再度スポンジの設置。左はスポンジなし。
両方の鼻にスポンジという最悪の事態は免れましたが、スポンジのない左も右側から圧迫されてかほとんど息はできません。
再度右のスポンジの除去を試みるのは3日後となりました。
つづく