②はこちらです。
手術を終え、ふらふらながらも帰宅した私は、着ているものをその辺に脱ぎ捨てそのままベッドに横たわりました。
大したことがないとはいえ麻酔も使用する外科手術を終えたのですから疲れているのは当然です。
ところがです。
寝れないのです。
鼻が完全にふさがれた今、100%口呼吸をせざるを得ないのは当然として、そうなると喉が渇きます。すると次は当然水が飲みたくなります。
そして水を飲むと・・・。
これが全くの想定外でした。
両方の鼻がふさがれていることから、口で何かを吸い込もうとすると、顔の器官が真空状態となり、耳が内側に引っ張られるような、いわゆる深海などでの「耳抜き」が必要な状態になってしまうのです。1回だけならいいのですが、飲み込むとき毎回ともなると、これはとても気持ち悪いものです。数秒に1回溺れるような感じになるのですから。
さらに、口呼吸していれば当然口の中やのどは乾燥して苦しいため水は飲まなければなりません。そうするとまた溺れてしまうのです。
さらにさらに、行き場をなくした体液が涙となって目からあふれ出ます。
こんな状態だと、寝れないのです。
痛みは全くありません。
ですが、これらの症状は精神的に削られてくるのです。
手術の際のエピソードでも記したように、閉所恐怖症の嫌いがある私には、この状態が閉所のようにも感じられ軽くパニックになりました。
この夜は、いえ1日はとても長く精神的にきついものでした。
次に病院に行くのは翌日です。
ほぼほぼ寝ていない状態で術後経過を医師に診てもらいました。
医師の診断は「術後の経過は良好」とのことです。
しかし、最大のネックの両方の鼻に差し込まれ真空状態をもたらすスポンジを抜き取れるのはその2日後、48時間後です。
長い・・・。.
しかし、ゴールが見えたのも確か。
あとは耐え忍ぶだけです。
しかし、この時の私は知る由もなかったのです。
さらなる地獄がこの後に待っていることを。
つづく