~共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。~
今年もあと2週間程で終わります。
今年は本当に読書面で何の収穫もなかった年です。
手に取る本が軒並み面白くない、どころか文章の体をなしてないものばかり。
そして本作。
ひどかったです。
読む価値なし。
ざっとひどい箇所を列挙します。
ネタバレ含みます。
①「濃い潮の香りを孕んで荒れ狂う風が広大な闇を鳴らしている。」
→なんですか、このくどい自然描写は。
大仰すぎて恥ずかしいよ!
何の効果ももたらしていないし言葉を血肉化していないから、お母さんの留守中にこっそり化粧品を顔に塗りたくっておかめみたいになった小娘を想起させるよ!
②「敷石に足を取られて地面にしたたか膝を打ちつけた」
→足を取られて「転んだ」って書きなさいよ!足を取られただけなら単にもつれただけの可能性もあるよ!転ばないと膝は打ちつけないでしょうが!
③主人公の矢上達が警察に追われ「スマホを捨てて逃走するほかなかった」
→電源切ればいいでしょうが!スマホを捨てたら捕まるリスクが増えるでしょうが!
電源さえ切れば微弱電波は飛ばないよ!
④劣悪な職場環境である工場を描写して。
「酷熱の工場」
→難しそうな言葉を使いたいだけ!
①と同じで大仰に表現したいだけで言葉を自らの血肉化していないことがバレバレだよ!
⑤シフト制で行われる工場勤務の時間帯を指して「一直」、「二直」・・・。
その「一直」、「二直」の説明をしなさいよ!当然「一」、「二」は勤務の順番だとしても「直」がなんであるかわからないし、「一後」「二後」のような他の勤務形態があるように見えてしまうよ!
⑥「八月の昼が身を反らせて傾いていく」
→うまくもないし、①④と同じで読んでいるこちらが恥ずかしくなるようなださい表現だよ!
⑦矢上達4人がさほど親しくもない職場の先輩「玄さん」に、玄さんの田舎に遊びに来るように誘われたことを疑問視して。
「玄さんの自宅には上がったこともないわけですよね」
→職場の同僚を自宅に上げること自体相当ハードルが高いことだよ!
それを言うならもっとハードルの低いことを指す「玄さんと一緒に飲みに行ったこともないわけですよね」とかだよ!
⑧「マスクして自転車乗るの、地獄だろうが」
→意味不明。なぜマスクして自転車に乗るの地獄なんですか?
⑨「コーヒーマシンで二人分の珈琲を作ると~」
→なぜここだけ漢字の珈琲なんだよ!ほかの箇所ではカタカナだったよ!
⑩「骸骨みたいな台所の窓」
→意味不明。かっこつけた描写にばかり執心するんじゃなくて最低限意味が通ることを書きなさいよ!
⑪警察が押収した矢上達4人の携帯電話の着信履歴に公衆電話からの着信があるのをだいぶ後になってから発見して。
→さも大発見みたいに描写しているけど、当初その着信に気づかないのは捜査ミスだよ!今日び公衆電話から着信があったら何か手掛かりになるのではないかと考えるのが普通だよ!
⑫派遣切りを描写して「企業は合法的に彼らを路上に放り出したのだ」
→言いすぎ。企業は派遣職員を進んで路上に放り出したわけではありません。それを言うなら「結果的に放り出した」などが妥当。
⑬矢上達四人が私設の図書館で読んだ本を警察が後追いして。
→いくら何でも誰も使っていない個人蔵の図書館で読んだ本を全てPCに記録しているというのは無理がありすぎるよ!たまたま手に取った本を読んでいった方が腑に落ちるよ!
⑭警官である薮下が逃走中の「脇隼人」を評して
「実のところ、脇と言う人物に対してどこか規格外なものを感じていた」
→その理由を書きなさいよ!
⑮脇がとある本を手に取ったきっかけを評して。
「脇が<マジか!>と書き込んだページの先に、脇がその本を手に取るきっかけになったと思われる絵が描いてあった。
→「ページの先に」絵が描いてあるんでしょ?ページをめくらないとその絵は読めないんでしょ?その本を取るきっかけになんてなりえないよ!適当なことを書くもんじゃないよ!
⑯「脇の影の薄い横顔を思わせた」
→意味不明。「影の薄い横顔」ってなんですか?
⑰「未明を過ぎて風が落ちたようだった」
→意味不明。「風が落ちる」ってなんですか?
⑱矢上達4人が「戦後の労働法制の変遷を学んでいく過程は」
→無理がありすぎ。非正規労働者をバカにする気持ちはありませんが、4人が4人とも急に勉強熱心になるのは荒唐無稽。
⑲「薮下は目を閉じると、眼裏の星々の残影を見ながら大きく息をついた」
→文章力がないのにキザなことを言うもんじゃないよ!血肉化してから使いなさいよ!
⑳「郵便なら宅配と違ってあとが残りません」
→意味不明。「あと」ってなんですか?消印ですか?ネット上の追跡調査の可否ですか?説明不足だよ!
㉑「髭もあたったばかりのようだった」
→間違いではないけど文章力のない作者の余計な表現は鼻につくよ!「剃ったばかり」で十分だよ!
㉒脇が「団体交渉」という言葉を耳にして。
「知ってるぞ!それは日本国憲法第二十八条で保障されている、勤労者の団結権のとこにでてくるやつだ!」
→第何条かまですらすら出てくるなんて天才ですか?非正規労働者を下に見るつもりもありませんが、その頭脳を活かした仕事が他にあったのではありませんか?
㉓お土産を差し出した側の脇がクッキーのほとんどを食べてしまった場面で。
「この礼を失した所業の主犯格である脇が~」
→つまらないギャグはいらないよ!
㉔法の「埒外」
→「埒外、埒外」って何度か出てくる表現だけどくどいよ!覚えたから使いたいだけなんでしょ?
以上、おかしな箇所約1/3です。
一応内容について少しだけ。
この本のひどいところ。
結局玄さんが矢上達4人を自らの田舎に呼び出して世話した理由が不明。
そして、労働組合つぶしで共謀罪を持ち出して国家が動くという構図が説得力なさすぎ。
さらには、矢上達がどうしたら警察から逃れられるかに腐心するばかりで、いくら事前にその可能性を聞かされていたとしても身に覚えのない共謀罪について疑問を呈する様子もなし。
以上。
読む価値なし。ただそれだけです。