1日だけ休んだ翌日、心を無にして(私にそんな芸当はできませんが)出社しました。
休んだ翌日は、周囲の方に「昨日はすみませんでした」とあいさつをするのが普通です。
心の狭い私はIさんとは話したくありませんでしたが、それではIさんと同じレベルまで落ちてしまうため極力普通にあいさつをし、やり過ごしました。
Iさんとはその後表面上はうまく接しました。
なぜうまく接することができたかというと、私がIさんに仕事を頼むのをやめたからです。
係長は係員を育てなくてはなりません。
そういう意味では私は指導をあきらめたので係長失格です。
ですが、もっと大きな仕事があります。
つつがない係の運営です。
部下の指導は達成できませんでしたが、つつがない係の運営は達成できたと思っています。
その2か月ほど後、Iさんは、急にご家族の看病をすると宣言、宣言後10日ほどで退職しました。
アルバイトの補充はあったものの私の仕事量は1.5倍くらいに増えました。
その時の私の気持ちを率直に書きます。不謹慎ですが書きます。
うれしかった!
病気になったIさんのご家族はもちろん気の毒です。
でもIさんの退職はうれしかった!
Iさんの退職により仕事量自体は増えたものの、替わりのアルバイトの方はごく普通の方、つまりは「仕事を頼める」、もっと言えば「できません」とは言わない当たり前の方だったため、とても仕事がはかどりました。
Iさんの退職は、あの日、「できません」発言を受けても冷静に対応できた私への神様からのプレゼントとしか思っていません。
もう一つ不謹慎なことを書きます。
Iさんの病気のご家族。きっと今は快癒したことでしょう。
ですが仮にあの日、Iさんがチョイスした言葉が、「できません」ではなく「少し時間をください」の世界線だったら、もっと早く治っていたと思います。
バタフライ・エフェクトってそういうものです。
明日Iさんは道端の石ころにつまづきます。
そしてIさんは手を付いて捻挫します。
ですが、「少し時間をください」をチョイスした世界線だったら、つまづいた先で手を付いて100円玉を見つけます。
もちろん捻挫はしません。
バタフライ・エフェクトってそういうものです。
おわり